就活では気を付けろ、「RIASEC」「ホランドの職業選択理論」は予測力ゼロのゴミ指標
就職ビジネスに気を付けよう
こんにちは、いつぞやの就職活動では50社くらい受けて全落ち。正に人生の負け犬・落伍者・敗残兵、小澤(@socius_time)でございます。
別に自分が就活で失敗しまくったことからの逆恨みってわけではないんですけど、「就職面接は人選基準として、まともなものではない」というお話を以前、紹介いたしました。
別にこれ、僕がゴタクを並べた妄想ではなくて、実証研究に基づいたキチンとしたものなんですな。

それにしても就活面接だけでなく、「就職面における指標」というのは、よほど金になるんでしょうか。実に魑魅魍魎な世界となっておりまして、けっこうザルな「指標」が、ズラリズラリと顔を揃えているわけでございます。
考えてみれば相手は純粋無垢かつ「就職」という、人生における分け目の戦いで苦しんでいる若人ですからね。騙すことなど、赤子の手をひねるがごとく容易い。就職というものは人間誰でも経験するわけですから、市場規模も大きいし。
今回紹介する「RIASEC」も、その一つ。
派生物の「VRT」「VPT」「CPS-J」「SDS」などは、大学のキャリア教育で用いられることも多く、けっこう多くの耳にしたことある方も多いのではないでしょうか。事実、自分も就活の際は、これを用いてのカウンセリングを受けました。
就職希望の会社からは尽く祈られましたけど。
それにしてもこれ、ジョン・ホランドというカウンセラーの方が考えた「職業選択理論」となるものが基盤になっているんですが、この理論は
「人間の性格は数パターンに分けられ、そしてそれぞれに適した職業がある」
というもの。ほら、やっぱりどこかで聞いたことあるフレーズでしょ?
ホランド理論では、人びとの性格を次の6つに分類し、それぞれの性格にあった職業があるとしています。
- 現実的 (Realistic)
- 研究的 (Investigative)
- 芸術的 (Artistic)
- 社会的 (Social)
- 企業的 (Enterprising)
- 慣習的 (Conventional)
より詳しく知りたい方は、厚生労働省の資料をどうぞ。
ホランド理論の予測力は、ほぼゼロ:メタ分析は語る
だけど先述したように、これ、まともな指標じゃないんですね。
2011年の研究で、フィリップ・ロス、ステファン・ランヴィッチらの研究グループは職業選択理論に基づく、RIASEC各領域の興味と実際の勤務成績との関係をメタ分析しています。そして4440名から4670名ほどにおける各領域の妥当性をメタ分析した結果、それぞれの相関係数は、それぞれ「0.01」「0.00」「-0.03」「0.02」「0.01」「0.00」と6つの指標全てが0.00近辺を示すものとなりました。
要するに「ホランド理論」の予測力は、「ゼロ」。まったくもって、当てになりません。
それにしてもホランド氏は、自身のカウンセラー経験から自身の理論を思いついたそうですが、これは典型的な「自分の数種の経験例から与太を思いつく認知バイアス」のように見えます。
臨床系の人が良くやる間違い。
ほら良くいるでしょ、自分の身の回りの人物数人だけを見て、「近頃の○○は~」とか、その属性全体を語りだす人。あれと同じ。
観察して作り出した「理論」というものは、科学的手法として非常に弱いものなので、今回のように予測力が低くても全く不思議ではありません。

とはいえ、人間はバイアス(偏見)にまみれた生き物ですから、このような(ホランド氏の)マチガイ自体は致し方ないところがあります。
むしろ僕が注目したいのは、このデマ理論・与太話が、厚労省など各省庁、さまざまな国立・私立大学、労働研修機構など独立行政法人において現在も広く流通し続けていることです。
なんでなんでしょう。暗闇を見出さずにはいられません。こんな与太話に振り回されて、就活生がかわいそうです。
とかくこれから就活に向かう若人の皆さんが、こんなゴミ指標に惑わされないことを祈ります…。
先合いの厚労省の資料を引き合いに出しますと、
- 「我々の文化圏において、大多数の人は、現実的、研究的、芸術的、社会的、企業的、慣習的の6つのパーソナリティ・タイプのうちの1つに分類される。」
- 「人は、自分のもっている技能や能力が生かされ、また自分の価値観や態度を表現でき、かつ、自分の納得できる役割や課題を引き受けてくれるような環境を探し求めている。」
- 「個人の行動は、その人のパーソナリティとその人をとりまく環境との相互作用によって決定される。」
などなど、フムフムと思いそうなことがツラツラと書いてあるけれど、実際はただの戯言。
はぁまったく、エビデンスゼロのこれを言う方も言う方だが、採用する方もする方ですな…。
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everybody goes everybody fights
秩序のない現代に ドロップキック
everybody knows everybody wants
でも No No No No
皆 病んでる
必死で生きてる
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