ケニアで「史上最大」のベーシックインカム実験が開始。フィンランドなど、増えるRCTによる社会実験

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ケニアで「史上最大」のベーシックインカム実験が開始。フィンランドなど、増えるRCTによる社会実験

「史上最大」のベーシックインカム実験が開始

アメリカのNPO団体「 Givedirectly」は2017年11月、ケニアにおいて大規模なベーシックインカムの社会実験を開始しました。同NPO曰く、「人類史上最大のユニバーサルベーシックインカム(UBI)実験」であるそうです。

GivedirectlyとRCT(ランダム化比較試験)

Givedirectlyは貧困対策を目的として2008年、MIT(マサチューセッツ工科大学)の学生によって設立されたNPO。インターネットを用いて直接的に資金を調達するほか、従来医療分野での臨床試験(投薬試験など)においてよく用いられてきた試験法、「ランダム化比較試験(RCT)」を用いることで、エビデンスレベルの非常に高い(信頼性の高い)研究を行うことがその特徴。

例えば医療科学におけるエビデンスレベルにおいて、RCTは最も信頼性の高いものとなっています(「診療ガイドライン作成の手引き2014」より)。

※RCTとは何か

無作為に被験者をトリートメント群とコントロール群とにわけて、トリートメント群にだけ何かを処置し、2つの群の差を測定する方法。

これまで主に医療分野で用いられてきた手法だが、最近では社会科学分野でもよく用いられるようになっている(例えばバナジー&デュフロ『貧乏人の経済学』など)。具体的には、農家を無作為に2つのグループに分け、片方のグループだけ化学肥料を配布し、その生産性や所得への影響を計測するといった手法がとられる。

 

・エビデンスレベルについて (病理科学・疫学におけるもの。上方になるにしたがって、より信頼できる手法となる)

I システマティック・レビュー/RCTのメタアナリシス
II 1つ以上のランダム化比較試験
III 非ランダム化比較試験
IVa 分析疫学的研究(コホート研究)
IVb 分析疫学的研究(症例対照研究、横断研究)
V 記述研究(症例報告やケース・シリーズ)
VI データに基づかない、専門委員会や専門家個人の意見

 

増える、RCTによるベーシックインカム実験。フィンランドの国家実験も

近年ベーシックインカムについては、正確な実験結果を得るためにRCTを用いた実験があちこちで行われています。

例えば最近ではカリフォルニア州オークランドのスタートアップ企業、Y Combinator(ワイコンビネーター)がRCTに基づく実験を開始。参加者は月に1,000〜2,000ドルを受け取りました。同社は現在、2018年に全米の2州において大規模な試験を開始する準備を進めているそうです。

国家レベルの単位で行われたことで話題となった「フィンランドでのベーシックインカム実験(2017年から現在も実施中)」もRCTです。

 

主なベーシックインカム実験の一覧

主なベーシックインカム実験を表にしました。リンク先はそれぞれの詳細ページです。

場所 実施年 実験人数 RCT
カナダ・マニトバ州(MINICOME) 1974-79 1300人
米ニュージャージー州 1968-1972 1216人
米ワシントン州シアトル 不明 あわせて4800人
米コロラド州デンバー 不明
米インディアナ州グレイ 1971-1974 1799人
インド マディヤ・プラデーシュ州(MPUCT) 2011-2012 6000人
フィンランド 2017-現在 2000人

 

なおRCTを用いての発展途上国での貧困対策・社会実験について記した『貧乏人の経済学』のA・V・バナジー MIT教授は、今回のベーシックインカム実験を行うGiveDirectlyの顧問でもあるとのこと(オバマ政権で経済諮問委員トップを務めたアラン・クルーガー教授も同NPOの顧問)。

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