カジノIR法案に関し、カジノ設置におけるメリットとデメリット。データ9つ
【メリット】
①:カジノ・IRの経済効果
オックスフォード・エコノミクス算出による、IRの経済効果
直接効果 | ||
東京圏 | 大阪圏 | |
GDP | 1兆1730億円 | 8180億円 |
粗付加価値 | 7,720億円 | 5100億円 |
雇用件数 | 34,507件 | 26,147件 |
個人所得 | 1990億円 | 1460億円 |
間接効果および二次波及効果 | ||
GDP | 1兆690億円 | 8040億円 |
粗付加価値 | 5790億円 | 4350億円 |
雇用件数 | 68,324件 | 51,449件 |
個人所得 | 2540億円 | 1910億円 |
出典:Oxford Economics (2015). Beyond 2020: Tourism Growth and the Economic Impact of Integrated Resorts in Japan.
②:世界のカジノ市場規模
2010年のデータ
アメリカ | 574億8800万ドル |
アジア | 342億8000万ドル |
ヨーロッパ・中東・アフリカ | 163億700万ドル |
カナダ | 57億400万ドル |
ラテンアメリカ | 38億000万ドル |
計 | 1175億7900万ドル |
図.世界のカジノ市場規模
出典:PricewaterhouseCoopers LLP “Global Gaming Outlook 2011”
【デメリット面】
③:みずほ銀行が指摘する、「日本のカジノ法案に課する議論についての問題点」
経済効果、新規雇用効果や観光客増加、新規財源の創出といったメリット面については定量的な研究が進む一方、
- 「ギャンブル依存症への対策」「自殺・犯罪増加」「労働雇用・喪失」
については、十分な把握がなされていない。
出典:みずほ銀行 産業調査部「特集:日本産業の中期展望-日本産業が輝きを取り戻すための有望分野を探る-」2012年5月7日
同じく、北海道立精神保健福祉センター所長の田辺等氏も、日本において「ギャンブル問題の研究が進んでいない」ことを訴える。
・田辺氏作成のスライドより
出典:田辺等「我が国に蔓延する「ギャンブル依存症」の現状」
④:日本は、他国に比べてギャンブル依存症患者の率が高い
2017年に厚生労働省が全国4685人に実施した面接調査のデータによれば、推計で約320万人がギャンブル依存症という結果でした。有病率は3.6%。この数字は他国と比べても突出して高いものとなっています。
・世界各国のギャンブル依存症有病率
国 | 調査年 | 調査数(人) | 生涯有病率 |
アメリカ(ルイジアナ州) | 2002 | 1353 | 1.58 |
オーストラリア | 2001 | 27万6777 | 男性 2.4 女性1.7 |
カナダ | 2002 | 4603 | 0.9 |
韓国 | 2006 | 5333 | 0.8 |
スウェーデン | 1997 | 7139 | 0.6 |
ニュージーランド | 2000 | 1029 | 0.8 |
フランス | 2008 | 529 | 1.24 |
香港 | 2001 | 2004 | 1.8 |
日本 | 2008 | 4123 | 男性 9.6 女性1.6 |
2013 | 4153 | 男性 8.8 女性1.8 全体 4.8% | |
2017 | 4685 | 男性 6.7 女性 0.6 全体 3.6% |
⑤:ギャンブル依存症の特徴 その1:多額の借金、1200万円を超える額のつぎ込み、配偶者含めた精神疾患
2005年のデータ
平均借金金額:600万円(6割が500万円を超える)
ギャンブル開始平均年齢:20.2歳
借金開始平均年齢:27.8歳
初診時平均年齢:39.0歳
借金の債務整理をした人:28名/100名中
自己破産:4名/100名中
鬱病併発:17名/100名中
アルコール依存:5名/100名中
配偶者65名中10名が精神疾患
ギャンブルにつぎ込んだ金額の平均:1293万円(最高1億1000万円、最低50万円)
出典:森山成彬(2008)「病的賭博者100人の臨床的実態」精神医学50:895-904
⑥:ギャンブル依存症の特徴 その2:高い自殺希望
・自殺念慮経験率(したいなと思い、素振りをする)
ギャンブル依存症患者…生涯62.1%(1年以内は26.7%)
アルコール依存障害者…同55.1%
薬物使用障害者…同83.3%
健常者対照群(元気な人)…同14.5%
大うつ病性エピソード該当者…1年19.4%
出典:同上
・自殺企図(実際に自殺を図る)経験率
ギャンブル依存症患者……生涯40.5%(1年以内12.1%)
アルコール依存障害者…同30.6%
薬物使用障害者…同55.7%
健常者対照群(元気な人)…同1.8%
大うつ病性エピソード該当者…1年8.3%
出典:森山成彬(2008)「病的賭博者100人の臨床的実態」精神医学50:895-904、厚生労働科学研究「いわゆるギャンブル依存症の実態と地域ケアの促
進」平成20年度 田中班報告書
⑦:カジノを含む統合型リゾートに対する、国民のイメージ
ギャンブル依存症の人が増える…61.0%
治安が悪化する…45.4%
犯罪が増加する…43.6%
青少年の成長に悪影響を与える…38.5%
散財をする人が増える…34.1%
(2017年1月調査)
⑧:世界のギャンブル機器の64%が日本に存在する
・ギャンブル機器の総数
世界のギャンブル機器の総数:720万台
日本のパチンコ店にあるギャンブル機器の数:460万台
世界の64%、およそ3分の2が日本に存在する。
・ギャンブル機器の人口比ランキング
①:セントマーチン島・・・11人に1台
②:モナコ・・・23人に1台
③:日本・・・30人に1台
ともに出典:帚木蓬生『ギャンブル依存国家・日本』光文社新書、2014年
⑨:他国における、ギャンブル依存のマイナス効果の研究例
アメリカ・・・社会的コストが年間50億ドル(約5500億円)、生涯コストが400億ドル(4兆4000億円)
※国家ゲーミング影響度調査委員会調べ
韓国・・・ギャンブル産業の売り上げ16.5兆ウォン(約1兆6400億円)に対し、家庭崩壊や労働意欲の低下で社会全体で、60兆ウォン(約5兆9000億円)の損失
※2011年11月27日朝日新聞報道
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