マスコミの世論調査に関する「ネット上のデマ」とその「対処法」

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TV新聞などマスコミによる世論調査(RDD法)に関するデマについて

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【ポイント】

最近あちこちで、世論調査を「デマ」や「捏造」だとする意見を多く聞こえてくる

しかし、それらは大抵が単なる思い込みや間違いであることが多い

それらの例を、ケース別にわかりやすく説明

 

世論調査に関して、デマがはびこっている…

最近ネットのあちこちで、大手マスコミ実施の世論調査(RDD法)に対して疑問を投げかけるような主張を見かけるようになってきました。

しかしながら、よくよく調べると、それらの多くは単なるマチガイ・デマの類であることが分かります。具体的に見ていきましょう。

 

デマ①:「世論調査(RDD法)は平日昼間に電話をかけるから、主婦ばかりになる」

この主張には2つの間違いが含まれています。

マチガイ1:

➾「そもそも、電話に出た人に世論調査を行うのではない。」

例えば、朝日新聞によるRDD法世論調査の説明ページには次のように書かれています。

世帯に電話がつながったら、調査の趣旨を説明した後、その世帯に住んでいる有権者の人数を聞きます。

コンピューターでサイコロを振る形で、その中から1人を選んで調査の対象者になってもらいます

電話に最初に出た方を対象にすると、在宅率の高い主婦やご高齢の方の回答が多くなってしまい正確な調査になりません。

選ばれた方が不在でも、一度決めた対象者は変えず、時間を変えて複数回電話をかけます。また、すぐには応じていただけない場合でも、重ねて協力をお願いしています。これも、回答者の構成を「有権者の縮図」に近づけるためです。

一方日本経済新聞の世論調査を行う日経リサーチのホームページでも、次のように書かれています。

無作為抽出された方にのみ調査協力をお願いします。そしてすべての方から回答をいただくことを目標にしています。

そのため電話が通じるまで日時を変えて、お電話をさせていただきます。

 

マチガイ2:

➾「世論調査の電話は、昼間だけにかけるものではない」

同じく、朝日新聞のページから。

調査は原則午後10時まで(予約ができれば午後11時まで)行い、仕事などで帰宅が遅い方からも回答してもらえるようにしています。

 

デマ②:「世論調査は携帯電話にかけない。だから調査対象が年寄りばかりで、若者の意見が含まれず、結果は年寄りの意見を示している」

マチガイ:

➾「そもそも携帯電話にもかけている」

日経リサーチのページには次のように記されています。

携帯電話の普及で固定電話を持たない人が若い世代を中心に増えてきたため、2016年7月の全国世論調査から携帯電話に対しても電話をかける方式を導入しました

朝日新聞の世論調査も同様です。ただし朝日新聞の場合、一部地域では引き続き固定電話のみとなっているそうです。

携帯電話の普及で固定電話を持たない人が若い世代を中心に増えてきたため、2016年7月の全国世論調査から携帯電話に対しても電話をかける方式を導入しました。

ただし、携帯電話の番号には固定電話の「市外局番」のような地域情報がないため、一部の地域を対象にする形式の調査では、引き続き固定電話のみを対象にしています。

なお世論調査には、毎月定期的に行われている内閣支持率など「意識調査」と、選挙情勢調査など「投票行動」の2種類がありますが、特に意識調査に関しては、高年齢層に傾きがちなRDD調査でも若年層が多いネット・モバイルでも特に調査による差はないそうです。

(大栗正彦(2013) 「ネット調査はRDD調査を補完できるか ,政策と調査第5号,世論・選挙調査研究大会記念号,11~18 より)

 

デマ③:「毎日新聞や朝日新聞の世論調査で内閣支持率が低いのは、両新聞が政権に批判的だからだ」

マチガイ:

➾「聞き方の違いによるところが多い」

例えば読売新聞や日本経済新聞の調査では、質問に対して「わからない」「どちらでもない」といったあいまいな回答がなされた場合、「どちらかと言えばどうですか?」と再び聞くものとなっています。

これを「重ね聞き」と言いますが、これにより、「はい」「いいえ」どちらかの答えが出やすいものとなっています。

 

もちろん、マスコミの世論調査も問題点はある

とはいえ、もちろん現状のマスコミによる世論調査(RDD法)に問題が無いわけではありません。例えば中日新聞の大栗正彦氏はRDD調査の課題として、次のように述べています。

・新聞各社の調査による固定電話保有層は読売新聞90.2%、朝日新聞90%、毎日新聞93%、中日新聞(静岡県)85.6%。まだカバー率はかなり高いが、着実に固定電話離れが進んでいる。

・これまで固定電話層と携帯電話限定(優先)層で一般的に意識差はないとされ、RDD法で問題はないとされてきた

・内閣支持率などに関しては、高年齢層に傾きがちなRDD調査でも若年層が多いネット・モバイルでも特に調査による差はないといえる

・だが、投票行動に関してはRDD調査とネット調査、モバイル調査で特に若年層で差が見らるようになってきた

・現状投票行動でもRDD法は高い精度を示しているが、これは若年層の投票率が低いためといえる

 

 

参考文献

大栗正彦(2013) 「ネット調査はRDD調査を補完できるか ,政策と調査第5号,世論・選挙調査研究大会記念号,11~18 日

朝日新聞ホームページ「「RDD」方式とは」 ttp://www.asahi.com/special/08003/rdd.html

日経リサーチホームページ「世論調査について」ttps://www.nikkei-r.co.jp/howto/faq/pollsurvey/