太陽光発電市場の急成長とコスト低下を示す6種のグラフ

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太陽エネルギー市場の急成長とコストの下落を示す6種のグラフ

 

温室効果ガスの排出量が少ない、再生可能エネルギー(クリーンエネルギー)に分類される太陽エネルギー。、私たちの生活と地球環境に必要不可欠なエネルギーの1つであることはよく知られたところでしょう。近年、太陽エネルギー市場は急成長を遂げており、世界的成長率は2000年から7倍、アメリカでは過去10年で100倍もの成長を達成、今後さらに世界経済の発展を後押しする「新燃料」とみなされています。

この成長率にくわえ、太陽エネルギーの価格変動も激しく、現在アメリカの一世帯の平均電力価格が1kWh(キロワット)=12セントであるのに対し、近年ドバイにて、800MW(メガワット)の太陽エネルギーを1kWh=2.99セントという驚異的な安値で入札が成立。話題になりました。

海外メディア・ブルームバーグのエネルギ―分野のシンクタンク、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)の会長であるマイケル・リーブライヒ氏は4月の年次総会で、“太陽エネルギーの長期プログラムによる、導入コスト低下と導入件数の驚異的な拡大”に関する内容を「奇跡を求めて」と題して演説を行いました。

それによれば、1975年からの長期的な発展プログラムにより、太陽光発電のコストは150分の1に低下し、導入事例は115,000件を成し遂げたとのこと。

 

①:太陽光発電のコストは劇的に低下している

出典:Bloomberg

 

出典:BloomebergNewEnergyFinance

 

またBNEFはさらに「世界の電力市場の発展に関する長期的予測 (ニューエナジーアウトルックNEO)」を用いて、太陽と風力エネルギーの大幅な価格低下を示す重要なチャートを提供しています。

例えば過去40年間で太陽エネルギー市場が倍増する毎に、太陽エネルギーの価格は約26%低下しているとの調査結果があります。

一方BNEFの予測では、2040年までに世界で行われる太陽光発電への投資額は、3.4兆ドルに達するとされており、これは現在までに行われた化石燃料への投資2.1兆ドルと、核への投資1.1兆ドルを合わせた累計額を超える投資金額に達します。

そしてこれらの巨額投資によって2020~2030年には、太陽エネルギーと風力エネルギーは世界で最も低価格な発電方法となるとされているとのこと。

電力を保証価格で契約販売する米国電力購入協定(PPA)に基づいて作成された、実使用規模の太陽光発電量のkWhあたりの価格下落を示すグラフも存在します。

 

②:太陽光発電量の価格下落を示すグラフ

出典:LBNL

 

例えばテキサス州で電力供給を公益事業で行うオースティン・エナジーは去年の秋に「First Solar Inc.とHanwha Q CELLS USA Corpの両社と、288MW実用太陽エネルギーを1kWh=4セント以下で契約を行った」と報告しました。そのほか、ネバタ州のNVエナジーは100MW以上の太陽エネルギー容量に対し、1kWh=3.87セントで契約しニュースに取り上げられています。

価格下落のさらに驚くべき点は、アメリカの太陽エネルギーの入札額においては、投資税額控除や減価償却などの金額も含まれているということです。実際、NV エナジーの「1kWh=3.87セント」の契約例では、連邦税額控除30%と初年度の減価償却60%などの金額を考慮すると、実質「kWh=0.07セント」になります。

世界でも更なる入札価格下落が多く報告され、殆どの電力会社では補助金やインセンティブに頼らない入札が行われています。

例えばドバイの電力・水道局DEWAでは、800MWに対しkWh=2.99セントの安値で入札が成立しました。このドバイでは少なくとも、他4社が同様の条件での契約が行われました。この地では25年に渡り、1000MWを超える太陽エネルギー契約は5.84セント/ kWhで調印されてきたので、これはすなわち、たった18か月の間に50%もの価格変動を経験したことになります。

一方メキシコでもエネル・グリーン・パワーが1kWh=3.6セントの太陽エネルギー提供契約を結び話題となりました。

これらのように、太陽エネルギーの急激な価格低下によって、太陽光発電システムの販売売上は急速に上昇しています。

2005-2015年にかけて、年間PV売上は100倍に伸びました。また今後5年間の太陽投資税額控除(ITC)の段階的廃止によって、今年の売上はさらにこれまでの約2倍へ伸びると予測されています。

 

③:2010年辺りから急速に伸びている太陽光発電の売り上げ

 

PV売上と追加数の推移チャートからわかることは、近年の太陽エネルギーブームが世界規模であるということ。

世界各国で信頼性の高い配備プログラムが行われており、特に過去10年における中国とドイツの太陽エネルギーに関する政策は、太陽エネルギーの価格下落を起こすきっかけになったとされています。

 

④:太陽光発電の世界での総発電量

出典:REN21

 

現在の太陽光発電のメッカは中国、ドイツ、そして日本。アメリカは半世紀前に太陽光エネルギーを発明したものの、2015年の世界シェアは4番目に位置しています。しかし2021年までにアメリカの太陽エネルギー発電総容量は100GWに達する可能性があると伝えられており、更なる成長が見込まれています。

国際エネルギー機関(IEA)は2015年に、「政策支援の継続によって、2030年頃には再生可能エネルギーは世界の発電量の半分に達し、石炭に換わる最大の電源となる」としました。

 

⑤:世界各国の太陽光発電の発電量。太陽光発電量世界一は中国

出典:REN21

またもう1つ注目のエネルギーとして、太陽熱発電(CSP)も注目を集めています。これは太陽光を太陽炉で集光して水を加熱し、汽力発電やスターリングエンジンの熱源として利用する発電方法で、太陽光発電よりも導入費用が20分の1に軽減され、蓄熱により24時間の発電が可能になるというもの。

燃料を用いないため、燃料費がかからなくそのうえ二酸化炭素を排出しないなどの利点も期待されています。過去10年間(2005-2015年)、太陽熱発電市場が急速に拡大しています。このCSPに特に熱心なのがスペインで、アメリカが続きます。

 

⑥:拡大する太陽熱発電

出典:REN21

 

国際エネルギー機関(IEA)の2014年のSTE技術ロードマップによれば、2050年における世界電力発電のシェアでは、アメリカの太陽光発電(PV)とスターリングエンジン(STE:外燃機関の一つで、外熱によってシリンダ内の気体の圧力を変化させ、動力を得るエンジン)がそれぞれ全体の16%と全体11%の大きなシェアを占めると予測されています。

電気や熱に変化させた際に、地球への有害物質を排出しない「クリーンエネルギー」の進歩は目まぐるしく、温暖化などの気候変動への対策も日々変化し続けています。エネルギーの種類や使用方法、そして価格にも今度注目度が高まっています。

 

参考:

Michael Liebreich “BLOOMBERG NEW ENERGY. FINANCE SUMMIT. In search of the miraculous” 2016年4月6日

iea “Technology Roadmap: Solar Thermal Electricity” – 2014 edition”

bloomberg “China to More Than Triple Solar Power Capacity in Five Years” 2016年3月21日

SEIA ”US Solar Market Set to Grow 119% in 2016, Installations to Reach 16 GW” 2016年3月9日

REN21 ”Renewables 2016 Global Status Report